研究紹介

研究紹介

遠隔看護が必要な背景

医療費の8割が病気の治療費に使用されています。病気にならずに命をまっとうできる健康寿命を延ばすことが今後の医療の課題です。
今日の医療は経験に基づいた病気の分類に依存した医療が中心的です。今後の医療は、科学的な根拠に基づいた個別医療(personalized medicine)に医療の中心が変わっていきます。

未来のテレヘルスケアの形

本研究センターが目指している未来のテレヘルスケアの設計図です。個別化医療を実施するためには、このような仕組みが大事となります。

人工知能(AI)による意思決定支援

スマートホンのアプリを介して時々刻々と変化する情報を入力し、データベース化する手法です。貯められたデータは対象(患者 や家族)はもちろん、専門職にも活用できる知的支援ツールとしてAI(Artificial Intelligence:人工知能)を構築します。しかし介入 の意思決定に必要な情報は時々刻々と変化する予測不能で複雑なものが多いため、AIによる過去のデータのみに依存することのな い、専門家の知恵との共同作業で展開するEI(Extended Intelligence:拡張知能)の構築を目指しています。

生体センサーの開発

IoTオールインワン生体計測装置

非侵襲で日常的に経時的に病気の予測や悪化を計測できるウェアラブルな生体計測センサーの開発を進めています

顔から病態を予測するトラッキング技術開発

顔認証技術を応用して、日常生活の中で早期の病態把握が可能となるようなトラッキング技術の開発を進めています。

  • 生命兆候
    • 脈拍・血圧計測
    • 体温計測
  • 病態兆候
    • 血中酸素濃度計測
    • 血糖値計測
    • 血中脂質濃度計測
    • 血管年齢計測
  • 精神・心理兆候
    • 脈波揺らぎ計測(自律神経)
    • 体動感知計測

以下は、研究センター長が研究課題の一つとして取り組んでいる一つについて、TED(Technology Entertainment and Design) in Tsukuba にて講演した内容です。

バイタルサイン計測技術

社会の健康ニーズが進み、在宅医療の発展が求められる中で、遠隔医療・看護を実施するために必要な「バイタルサイン」から得られる感性的な情報を、安全かつ簡便・非侵襲的に測定・伝達し、看護として活用できる新技術の提案です。産学連携による機器開発によって、実用化に向けた検証を行っています。下図に示したのは、試験機と診断用解析画面です。

転倒転落予知センサーの開発

ベッド上での動きをIoTで経時的に観察しAIによって、ベッド上からの転倒転落予兆を観察する手法の開発をしています。今後はあらゆる生活用具や介護用具などに応用することを目指しています。

次世代遠隔看護用のアプリ設計画面

この図は、タブレットで展開する実験用のテレナーシング画面の構成図です。

今後の研究計画と評価の指標

遠隔看護実践研究センターで現在行っている研究内容です。来年度には実装実験を行ってその波及効果を検証する方向で研究を進めています。

科学研究費 採択

科学研究費(基盤研究A)
「在宅医療推進を支える遠隔看護技術の実用化に向けたプロトタイプの提案」<研究代表者:川口 孝泰>2016-2019

科学研究費(基盤研究C)
「遠隔看護の実践能力育成に向けた研修プログラムの開発と評価」<研究代表者:豊増 佳子>2018-2021

科学研究費(基盤研究C)
「嚥下障害患者の食行動モニタリングによる誤嚥性肺炎の予測」<研究代表者:大石 朋子>2018-2021

研究成果発表(関連業績)

  1. 大石朋子、川口孝泰、口腔リハビリテーションに取り組む医療施設の活動実態、日本健康・栄養システム学会誌、2019.
  2. 川口孝泰、情報技術の進化に伴う看護の未来、看護、70(5)、81-83、2018.
  3. 川口孝泰、豊増佳子、今井哲郎、遠隔看護(TELENURSING)による次世代訪問看護の未来 ―看護学と情報学の融合―、東京情報大学研究論集、21(2)、2018.
  4. 今井哲郎、大石朋子、川口孝泰、看護系論文の共著者ネットワークの分析による看護学専門領域の分類、東京情報大学研究論集、21(2)、2018.
  5. 伊藤嘉章、川口孝泰、The AACN Synergy Model for Patient Careに関する近年の動向、東京情報大学研究論集、21(2)、2018.
  6. 伊藤嘉章、川口孝泰、梅村浩之、佐藤洋、集中治療室における周波数解析を用いた音環境の実態調査、東京情報大学研究論集、21(2)、2018.
  7. 豊増佳子、森雅生、川口孝泰、看護系大学のWeb上シラバスにおける遠隔看護関連用語出現状況の実態調査、東京情報大学研究論集、21(2)、2018.
  8. Toyomasu, T. Kawaguchi. Developing competency-based learning contents in fundamental nursing education based on telenursing activities. NETNEP2018 (7th International Nurse Education Conference). 2018.
  9. Kyoko Tokoro, Yoshiaki Ito, Yoko Emori, Takayasu Kawaguchi:Relationship between Fatigue and Heart Rate Variability in Mothers up to Three Months Postpartum、MOJ Women’s Health, Vol.6 Issue 3 、2017.
  10. 荒木大地、長田拓也、中内靖、川口孝泰、ベッド上からの転倒・転落予防に向けた体動変化解析手法の提案、日本機械学会論文集、日本機械学会論文集、83、2017.
  11. Ito Yoshiaki, Kyoko Tokoro, Takayasu Kawaguchi:Development of the Japanese version of the AACN Synergy Model for Patient Care、Nursing & Care Open Access Journal:doi.org/10.15406/ncoaj、2017.
  12. D. Araki, H. Noguchi, T. Mori, H. Sanada and T. Kawaguchi, Comparison of movement discrimination method using center-of-gravity variation analysis on bed by the types of mattress, FrDT14-01.9, 2017
  13. Kaori Higano, Taiga Shibayama, Masao Ichikawa, Miwa Motomura, Hitoshi Shimano, Yasushi Kawakami, Kayuri Furuya, Takayasu Kawaguchi, The Effects of Telenursing with Goal Attainment Scaling in Diabetic Patients: A Case Report, International Journal of Nursing & Clinical Practices, ISSN: 2394-4978, Vol2, 2015
  14. Yoshihiro Asano, Takayasu Kawaguch:Preliminary study of effect of readiness on circulatory regulation when standing up from low chair, Journal of Nursing Science and Engineering, 2(3), 180-187, 2015.
  15. Daichi Araki, Takayasu Kawaguchi: Effect on Cerebral Blood Flow of Using a Power Assist Robot for Standing, MOJ Anatomy & Physiology, 1(5), 2015
  16. 川口孝泰, 遠隔看護とイノベーション-在宅医療の新展開:遠隔看護の現在と在宅医療におけるその役割, 看護研究, 48(2), 104-111, 2015
  17. 川口孝泰, 豊増佳子. 西山直美. 内藤隆宏, 遠隔看護とイノベーション-在宅医療の新展開:遠隔看護のクラウドベースでの実用化をめざして, 看護研究, 48(2), 145-151, 2015
  18. 荒木大地, 浅野美礼, 川口孝泰, 遠隔看護とイノベーション-在宅医療の新展開:遠隔看護におけるデバイス開発と応用事例, 看護研究, 2015, 48(2), 129-135
  19. 日向野香織, 柴山大賀, 林啓子, 川口孝泰, 遠隔看護とイノベーション-在宅医療の新展開:遠隔看護の取り組み事例 慢性疾患患者のサポート, 看護研究, 48(2), 136-144, 2015
  20. 本村美和, 川口孝泰, 中規模病院の看護管理者に求められるコンピテンシー尺度の開発, 日本看護研究学会雑誌, Vol. 36(1),61-70, 2013
  21. Satoh M, Kawaguchi T, Masuhara K: Cross-cultural Adaptation and validation reliability, validity of the Japanese version of the Hip disability and Osteoarthritis Outcome Score (HOOS) in Patients with Hip Osteoarthritis, Osteoarthritis and Cartilage (ELS), 21, 570-3, 2013
  22. Emiko Minakuchi, Eriko Ohnishi, Junji Ohnishi, Shigeko Sakamoto, Miyo Hori, Miwa Motomura, Junichi Hoshino, Kazuo Murakami, Takayasu Kawaguchi. Evaluation of mental stress by physiological indices derived from finger plethysmography. Journal of Physiological Anthropology, 32:17, 2013
  23. 本村美和, 川口孝泰, 中規模病院の看護管理組織に求められる医療情報スキル, 病院設備, Vol.54(3), 23-25, 2012
  24. 日向野香織, 柴山大賀, 白鳥和人, 森博志, 本村美和, 川口孝泰, 遠隔看護における看護介入法の効果-相互目標の設定を用いて-, 日本遠隔医療学会雑誌,8(2),166-169, 2012
  25. 白鳥和人, 日向野香織, 森博志, 本村美和, 川口孝泰, 相互目標設定による行動変容の誘導に重点を置いたビデオ対話と共有ブログ統合型遠隔看護システムの開発, 日本遠隔医療学会雑誌, 8(2),162-165, 2012
  26. Takayasu Kawaguchi, Masumi Azuma, Masae Satoh, Yoji Yoshioka, Telenursing, Part of the series Health Informatics, Telenursing in Chronic Conditions, 61-74, 2011
  27. Satoh M, Kawaguchi T, Masuhara K, Risk factors for revision total hip arthroplasty: emphasis on the characteristics of Japanese lifestyle, Arch Orthop Trauma Surg, 2009, 129, 1707-13, 2009
  28. Kawaguchi T, Azuma M, Ohta K, Development of a telenursing system for patients with chronic conditions. Journal of Telemedicine and Telecare. Vol10, 236-244, 2004
  29. Kawaguchi T, Uyama O, Konishi M, Nishiyama T, Iida T.Orthostatic hypotension in elderly persons during passive standing : A comparison with young persons.J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 56A:M273-M280, 2001